個人株主が非上場株式を売却した場合の税務上の処理

弁護士先生のご紹介で、川口市のお客様から相続により取得した非上場株式を当該株式の発行会社に売却する場合の処理の相談を受けましたが、一般的には単なる株式譲渡と変わらず分離課税の譲渡所得として考えられそうですが、当該事例の場合は配当所得となるので、その説明を事例により説明いたします。

同族会社 (大宮) の個人株主(浦和氏) は、所有する大宮の株式 (非上場株式) を

① 個人株主(川口氏) ② 発行法人である会社 (大宮) どちらかに売却しようと思っています。

この場合、売却する相手により、個人株主(浦和氏) の税金に違いがでるのでしょうか。

同族会社(大宮)←売却②  浦和氏  売却①→ 個人株主(川口氏)

① 川口氏 に売却する場合 株式等の売却は譲渡所得となり、収入 – ( 取得費 + 譲渡費用 ) に国税 15%、地方税 5% (申告分離 : 他の所得と区分して計算)が課税されます。

② 発行法人である同族会社 (大宮) に売却する場合 同族会社 (大宮) からみると、資本の払い戻しと考えられ、資本金等に対応する部分と利益積立金額に対応する部分に分けられます。 すなわち、売却価格 = 資本金等 + 利益積立金額 となります。

☆ 資本金等に対応する部分は、売却した株式数 × 資本金等の額 / 発行済株式数で計算されます。

浦和氏 からみると、 資本金等に対応する部分は (取得費の控除後が) 譲渡所得、利益積立金額に対応する部分は配当とみなされ配当所得 (総合課税 : 他の所得と合算して計算) として課税されます。

配当所得は、配当控除を受けることができますが、他の所得とあわせて累進税率で課税されるため、高い税率になることもあります。

なお、相続又は遺贈により財産を取得して相続税を課税された人が、相続等で取得した非上場株式を、相続の開始があった日の翌日から相続税申告書の提出期限の翌日以後3年以内に発行法人である会社に売却した場合は、配当所得とはみなされず、全額 、譲渡所得となります。 http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1477.htm

このように、売却する相手が個人か会社 (発行法人) かにより税金の種類が異なります。 譲渡所得の場合、申告分離課税 (国税 15% ,地方税 5%) ですが配当所得の場合、総合課税 (国税、累進税率 5%~40%) となり売却額によっては手取りにかなり違いがでてしまいます。

2016/02/11 | 自由が丘税理士法人の気になるブログ..

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