税制適格ストックオプションの注意事項

税制適格ストックオプションの要件を満たしていれば、権利行使時後の売却益は、譲渡所得として税率は15%程度となりますが、税制非適格ストックオプションの場合は、給与所得としてなってしまうので、累進課税が適用されて、税率は最大50%となってしまうので、要件を満たすこと非常に重要となります。主な要件としては以下のことを割当契約書において記載しておく必要があります。

1、発行形態

会社法238条2項の決議に基づいた無償発行であることが要件です。

2、付与対象者

会社及びその子会社の取締役、執行役、使用人が対象となります。監査役、外注先、法人向けに発行する場合は対象となりませんので注意が必要です。また、非上場会社の場合は発行済株式総数の1/3超を有する大口株主も対象ではありません。

3.行使価額

ストックオプションの行使価額は付与時の時価以上としなければなりません。時価以上ですので、時価と同じ金額でも大丈夫です。

実務上、投資家への増資の直前に、以前の低い株価を前提としてストックオプションを発行することがよく行われていますが、既にストックオプションの付与時に投資家との投資の条件交渉等が行われているような状況では、付与の時点ではすでに株価が上がっていると認定される可能性があります。そうなった場合は、時価未満の行使価額となり、税制適格要件を満たさないこととなるので注意が必要です。

4、権利行使期間

行使は付与決議日後、2年を経過した日から10年を経過する日までに行う必要があります。

5、権利行使限度額

権利行使価額は年間1,200万円までです。この価額は株式の時価ではなく権利行使価額です。

また、1,200万円を超えた部分のみが要件から外れるのではなく、その超えることとなった権利行使全てに対する部分が課税対象となる点にも留意が必要です。€例えば、1年間に1回目に300万円分、2回目に1,000万円分の権利を行使した場合、合計額の1,300万円から1,200万円を控除した100万円ではなく、1,200万円を超えることとなった2回目の権利行使価額すべてとなるので、1,000万円が課税対象となってしまいます。

6、譲渡制限

譲渡禁止が要件となっています。これはストックオプションが取得者側では有価証券として扱われるため、本来は譲渡できるものでるため、要件の1つになっています。

7、権利行使による株式の交付

ストックオプションの権利行使に係る株式の交付は、会社法238条1項の規定に反しないで行われることが必要です。

8、権利行使により取得した株式の保管委託等

発行会社と証券会社または金融機関との間であらかじめ一定の管理等信託契約を締結し、個人が取得した後に、当該証券会社または当該金融機関等で保管又は管理等信託がされることが必要です。

9、税務署への対応

新株予約権の割当の契約が済んだら、その翌年の1月31日までの新株予約権の付与に関する法定調書合計表と調書を提出する必要があります。

権利行使時の来年には、確定申告をする必要があります。

 

2018/12/22 | 資金調達

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