キャッシュアウトとは

会社法においては、現金を対価として少数株主を強制的に会社から排除することをキャッシュアウトという。スクイーズアウトとも呼ばれる。

2015年5月施行の改正会社法により、従来の株式交換や全部取得条項付種類株式などによるキャッシュアウト制度に加えて、株式会社の総株主の議決権を90%以上保有する特別支配株主は新キャッシュアウト制度を利用して、他の全株主に株式全部を直接売り渡すよう請求する株式等売渡請求が可能となりました。

特別支配株主が、この売渡請求をするためには、対象株式の売買価格、当該株式を取得する日(取得日)等を定めて、売り渡す側の株主(売渡株主)に請求しなければならず(改正会社法179条の2)、また会社の取締役会による承認を受けなければなりません(改正会社法179条の3)。これに対し売渡株主は、特別支配株主が提示した株式の価格が会社の財産の状況等の事情から著しく不当である場合で、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、特別支配株主に売渡請求をやめるよう請求できます(改正会社法179条の7)。また売渡株主は、取得日の20日前から取得日の前日までの間に、裁判所に売買価格の決定を申し立てることもできます。さらに、取得日から6ヶ月以内であれば売渡株主らは売渡請求の無効を訴えを起こすことができるものの(改正会社法条846条の2)、敗訴した場合に重過失等があったときは、特別支配株主に損害を賠償する責任を負います(改正会社法846条の9)。

現行法上、キャッシュアウトを行う方法としては、全部取得条項付種類株式の取得等があるものの、手続が煩雑で、特に中小企業にとっては現実的な選択肢ではありませんでした。それと比べると、特別支配株主が、少数株主を直接追い出す簡易な手続が創設されたことになります。

 

2016/02/24 | 事業承継

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