就業規則で定めた兼業禁止を守らない社員を解雇できますか?

余程の事由でない限り、一発で懲戒解雇を出す事は会社側に解雇権の乱用リスクがあります。また「兼業」ということについてですが、憲法で職業選択の自由が保障されている中、就業規則と言えども憲法を越えて一律に規制をかけることは難しいと言えます。とはいえ、会社での労務提供に支障を及ぼしたり、企業秩序に影響を及ぼす場合があることを考慮し設けられた兼業禁止の就業規則は、兼業の内容によって「兼業制限規定の合理性」が判例でも認められているケースがあります。

具体的には、以下のようなケースが該当します。

(1)副業のために遅刻や欠勤が多くなったと判断される場合
(2)競合する他社でのアルバイトは会社の利益が損なわれると判断される
(3)会社固有の技術やノウハウが漏洩されると判断される場合
(4)会社の名前や名刺を使って副業を行なう場合
(5)違法な仕事をして会社の品位を落とす惧れがある場合(風俗関連など)

また、会社の就業規則に兼業禁止が明示されているにも関わらず、全く無許可で兼業を行なうことは、それ自体が「無断で二重就職したことは、それ自体が企業秩序を阻害する行為であり」、会社に対する「雇用契約上の信頼関係を破壊する行為と評価されうる」という判例もあります。

これらのことを元に、まず注意勧告を行なう必要があります。既に再三注意勧告を行なわれたということでしたら、まずそれに従わないことに対して懲戒を出し、それと同時に期限付きで兼業を辞める様に勧告。それに従わなければ懲戒解雇にする旨も明示します。これに万が一再度従わなければ、それをもって懲戒解雇にする事は問題ないかと思います。

2016/04/07 | 社会保険関連

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