租税条約と使用料

使用料と租税条約

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* 確認のポイント
外国法人との取引に係る課税関係の確認は、以下の手順で行います。
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(1)国内法の検討
国内源泉所得
国内法において、外国法人は国内源泉所得 に対して法人税が課されます。 国内源泉所得のうち、「使用料等」とは、以下のものをいいます。

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A事例検討
国内法においては、国内源泉所得とされる使用料について、「使用地主義」を定めています。「使用地主義」とは、工業所有権等(特許権、商標権など)の財産又は権利が使用される場所(使用地国)において、所得の源泉が生じたものとする考え方です。
甲社は、特許権を日本の事業に使用しますので、中国法人A社の甲社に対する特許権収入は、国内源泉所得(法人税法138条7号所得)に該当します。
この場合、甲社がA社に対して対価を支払う際に、20%の源泉徴収が必要となります。

(2)租税条約の確認
国内法と租税条約の関係
国内法においては、使用料について「使用地主義」を定めているのに対し、租税条約の多くは、「債務者主義」を採用しています。
「債務者主義」とは、その工業所有権等がどこで使用されたかにかかわらず、工業所有権等の使用料を支払った者の居住地国を所得の源泉とする考え方です。
租税条約は、国内法に優先して適用されますので、外国法人との間で使用料に関する取引があった場合には、最初に国内法を検討し、次に租税条約を確認する事になります。
なお、租税条約によっては「使用地主義」を採用している国や、両国に課税権を認めている国もあるため、必ず租税条約を確認する必要があります。

?A事例検討
日中租税条約では、使用料について、居住地国(受益者・A社=中国)と源泉地国(支払者・甲社=日本)の双方に課税権を認めています。(日中租税条約12条1、2項)
A社(中国)の甲社に対する特許権収入は、日中租税条約上、債務地(日本)においても課税権をみとめています(つまり、「債務者主義」)ので、使用料の対価を支払う際に、税率10%(日中租税条約12条2項)を源泉徴収することになります。

(3)課税関係及び課税方式の確認
租税条約の適用を受けるための手続き
租税条約にもとづく所得税の軽減又は免除を受けるためには、「租税条約に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。


a)提出すべき取引
取引単位(契約単位)での届出が必要となります。
継続取引の場合には、取引の概要を記載することで1回の届出で済みます。
b)提出者及び提出先
国内源泉所得の支払を受ける外国法人が届出書を作成し、支払者を経由して支払者の納税地の所轄税務署長に提出します。
c)期限
相手方への支払日の前日までに納税地の所轄税務署長に提出します。

A源泉徴収義務と納付期限
a)徴収義務者
内国法人は、外国法人の国内源泉所得のうち、使用料等にかかる対価を支払う場合には、源泉徴収義務を負います。
b)納付期限(所法212)
徴収(支払)の日の属する月の翌月10日(所法212 一)までに納付します。

B事例検討
a)源泉徴収税率
国内法では、20%源泉ですが、租税条約が優先的に適用されますので、源泉徴収税率は10%に軽減されます。
b)手続き
外国法人A社は、甲社を通じて、甲社の所轄税務署長に「租税条約に関する届出書(使用料に対する所得税の軽減・免除)」を提出します。なお、届出書の提出期限は、特許権使用料を支払う日の前日までとなります。

 なお、税務署によっては、その支払に係る源泉税の納付日までに提出すれば、ペナルティを課さないようです。
c)納付
甲社は、源泉徴収した月の翌月10日までに、甲社の所轄税務署に納付しなければなりません。
d)二重課税の排除
外国法人A社は、ひとつの取引から生じる所得について、日本と中国の両国で二重課税される事になるため、居住地国(中国)で確定申告を行う際に、外国税額控除を適用することにより、二重課税を排除することができます。

2016/02/02 | 更新情報

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